2019年10月12日に日本に上陸した大型の台風19号。
関東を中心に広い地域で大きな被害を出しました。
特にひどかったのが、河川の氾濫です。
わたしは福島県いわき市にいて、避難所で一晩を過ごし、その後10日間の断水生活を経験しました。
- いわき市でどんな被害があったのか
- 避難所、断水生活で学んだこと
今後の対策になればと思い、わたしの経験を共有していきたいと思います。
台風19号によるいわき市の被害
福島県いわき市は台風19号の大雨による影響で、
- 市内を流れる2つの河川が氾濫(夏井川、新川)
- 1260ヘクタールに及ぶ広域で浸水被害(夏井川水系、鮫川水系)
- 床上浸水は住宅や商業施設合わせて約6,000棟
- 浄水場が浸水して電気系統に破損が生じ、市内約45,400戸で断水(最大15日間)
- 市内の一部が停電
こういった被害が起きました。
大雨で川が溢れて広い地域で浸水し、浄水場がダメになったことで断水が長期化したのです。
どんな状況だったのか、時系列で見ていきますね。
10月12日(土)台風が来る
12日は朝から雨が降っていました。
いわき市への台風接近のピークは夜遅くとの予想。
午前10時に避難準備・高齢者等避難開始(警戒レベル3)が発令され、避難所が開設されます。
この時点ではまだまだ余裕な感じ。
15時10分、市内全域に避難勧告(警戒レベル4)が発令されます。
雨は強いけれど、暴風雨とまではいかない様子でした。
16時、避難所が増設されます。
だんだんあたりが暗くなってきて、18時ころには川の水位がだいぶ上がってきていました。
19時10分、新川が氾濫危険水位に到達するおそれがあり、沿線地域に避難指示・緊急(警戒レベル4)が発令されます。
このころの川の水位は一気に上昇。
19時30分、好間川が氾濫危険水位に到達するおそれ。
19時40分、藤原川が氾濫危険水位に到達し、沿線地域に避難指示・緊急(警戒レベル4)が発令。
19時50分、大久川が氾濫危険水位に到達するおそれがあり、沿線地域に避難指示・緊急(警戒レベル4)が発令。
20時、鮫川が氾濫するおそれがあり、沿線地域に避難指示・緊急(警戒レベル4)が発令。
20時、新川が氾濫危険水位に到達し、避難指示・緊急(警戒レベル4)が発令。
21時前のいわきアリオス前の新川。
— く~ま💙💛 (@kuuma_san) October 12, 2019
既にたっぷたっぷ💧
しかも、さらに水かさが増してきてて身の危険を感じるほど💧#iwaki #いわき pic.twitter.com/rRKsxEsYyL
このころになると、スマホの災害通知がなりまくっているような状況でした。
20時50分、仁井田川が氾濫危険水位に到達するおそれがあり、沿線地域に避難指示・緊急(警戒レベル4)発令。
22時50分、釜戸川が氾濫危険水位に到達するおそれがあり、沿線地域に避難指示・緊急(警戒レベル4)発令。
23時10分、鮫川水系の高柴ダムより放水開始。
23時20分、新川、夏井川において河川氾濫が発生。災害発生情報(警戒レベル5)を発令。
とうとうここで河川の氾濫が発生します
川は広い地域にわたって流れているので、氾濫箇所は一カ所ではありません。
随時、地区ごとの氾濫情報が流れてきました。
市内ではあちこちの道路が冠水して、通行不可能な状態です。
国道6号 いわき 中央警察署付近のENEOS前で冠水
— たろう (@tarows_) October 12, 2019
車両通れないレベル#台風19号#いわき pic.twitter.com/o05wLAdWy4
23時20分、一部の避難所が定員に達したので受け入れを停止するお知らせ。
10月13日(日)夜中をはさんで被害が拡大
0時、林城ポンプ場、島ポンプ場の排水能力を超え、周辺地域に浸水が発生したことから避難指示・緊急(警戒レベル4)発令。
河川の氾濫だけじゃなく、大雨で降った水を処理しきれなくなることでも冠水や浸水は起こります。
この日は夜中じゅう、ずーっと災害警報が鳴っている状態でした。
2時ごろ、雨がだんだん弱くなってきます。
4時ごろになると、川の水位が少しずーつ下がってきました。
5時ごろ、水は徐々に引いてきましたが一部地域(1700戸)で停電。
福島県いわき市平地区午前5時頃の映像。住民の方が自宅から撮影した映像です。場所は平窪です。「水は引いてきていますが、これからの水や食料の確保が心配です。実家は大丈夫ですが停電しているところもあるようです」と語っていました。東北電力によるといわき市内では1700戸で停電です。#いわき pic.twitter.com/kRtMadxl8M
— 堀 潤 JUN HORI (@8bit_HORIJUN) October 12, 2019
10時、浄水場(平浄水場)の浸水被害で運転停止による、広域的な断水のお知らせが発表されます。
お昼くらいまでに、4万5,400戸の建物で、順次水が出なくなっていきました。
ここから、長い断水生活のスタートです。
16時、避難指示・避難勧告が解除されました。
台風が去ったその後の復興
台風は去っても、被害を受けた地域はそこから復旧作業が始まります。
今回は被害が大きかったのは、いわき市の平窪(ひらくぼ)、好間(よしま)、赤井(あかい)の地域。
水が引くまでは、取り残された人の救助活動。
水が引いたら、浸水した家の中から家財道具を出し、泥をよけて消毒しなければなりません。
特に平久保の方は浸水被害に加えて、断水も長期化したので復旧作業が思うように進みませんでした。
浸水してしまった保育園などは半月経っても再開できないなど、長きにわたって日常生活ができない状況。
福島県いわき市
— Ⓜ️チャン (@mchan_0621) October 13, 2019
報道もあまりされず、救助や支援も来ず、でもいまでもたくさんの方々が困っています。どうか、救助お願い致します。
地元を助けて#拡散希望 #福島県いわき市 #台風被害 pic.twitter.com/o3Xun0Cfxn
台風から2~3日後、市内のあちこちに水害ゴミが積まれるようになります。
このゴミもすぐには撤去されず、ボランティアの方たちや、自衛隊の方々の力で少しずつ運ばれていきます。
近所の公園の様子 #いわき #平窪 #台風19号 pic.twitter.com/nPrMmubY8x
— 比呂ころく (@koroku6_) October 16, 2019
#台風19号 関連
— 陸上自衛隊東北方面隊 (@NeaAdminpr) October 30, 2019
【#笑顔と故郷を取り戻すために JTF】
第6特科連隊(郡山駐屯地)は、福島県いわき市において災害廃棄物の撤去を実施しています。
https://t.co/UiagUN1PJN
#東北方面隊 #いわき市 #災害廃棄物 pic.twitter.com/c8i2AORO6N
この記事を書いている現在(台風から約1か月)も、まだ水害ゴミはあちこちにあります。
被災した方へいわき市からの県営・市営住宅の提供は、10月25日~31日(台風から約2週間後)に一時募集がありました。
応募者多数の場合は抽選になるなど、住宅の確保が未だ難しい状況にある方もいます。
断水の状況
台風が来た翌日(13日)から市内の広い範囲で断水が始まりました。
いわき、断水するよ!
— れみふく@在宅で書く元転妻 (@remifuku_) October 13, 2019
平、四倉、久之浜・大久、豊間、薄磯、郷ケ丘、自由ケ丘、明治団地、平成ニュータウン、小川(下小川、関場、三島、高萩の一部、上平の一部)
備えて!https://t.co/MAnIHnZbiy
13日には市内各地に給水所が設置されます。
3日後の16日には一部地域で断水が解除になるものの、ほとんどの地域は10日~15日間の断水。
断水解除になった地域も、水圧が低くてほぼ使えないお家も結構あったみたいです。
断水中の入浴施設無料開放
いわき市は、いわき湯本温泉をはじめ、温泉施設がたくさんあります。
幸い温泉街の方は断水しなかったので、多くの施設が無料開放したり、営業時間を延長してくれました。
私もかなりお世話になりました。感謝!
利用時間や利用条件などそれぞれ違いはありますが、無料開放や時間延長してくれた施設を簡単にまとめておきますね。
いわきFCパーク | シャワールーム平日午後無料開放 |
ジョイフィット | シャワールーム無料開放 |
スパリゾートハワイアンズ | 平日夕方無料開放 |
小名浜オーシャンホテル | 平日午後無料開放 |
かわうちの湯 | 無料開放 |
天神岬しおかぜ荘 | 無料開放 |
道の駅ならは | 無料開放 |
ならはスカイアリーナ | シャワー無料開放 |
Jヴィレッジ | シャワー無料開放 |
田人おふくろの宿 | 無料開放 |
三和ふれあい館入浴施設 | 無料開放、時間延長 |
いわきゆったり館クアハウス | 夜無料開放 |
村岡産婦人科 | 赤ちゃんの沐浴無料開放 |
古滝屋 | 時間延長 |
スパサロン ル・アンジュ | シャワールーム提供 |
神白温泉 国元屋 | 時間延長 |
※順不同
それから、自衛隊のお風呂もやってきていて、浸水被害の酷かった地域で利用できました。
#台風19号 関連
— 陸上自衛隊東北方面隊 (@NeaAdminpr) October 22, 2019
【#笑顔と故郷を取り戻すために JTF】
第2後方支援連隊(旭川駐屯地)が開設している、福島県いわき市平第四小学校における入浴支援施設の様子です。本日は16:00~21:00です。#東北方面隊 #いわき市 #入浴 pic.twitter.com/B3GNgFDgjT
入浴だけでなく、洗濯の支援もありました。
【福島県の災害支援!RT希望】#台風19号 の被害により福島県いわき市では大規模断水が続いています。
— 国土交通省 CtoSeaプロジェクト (@c2_sea_project) October 18, 2019
国土交通省・海技教育機構では
本日10/19 9時〜
練習船「青雲丸」を派遣して #入浴支援 #洗濯支援 を実施します。
詳細は画像をご確認下さい。
※入浴セット・洗濯洗剤はご持参下さい。#災害支援 pic.twitter.com/EOzReiDODV
わが家の台風体験談
わが家は浸水はせず、台風当日を避難所で過ごし、その後10日間の断水を経験しました。
それぞれの体験から学んだことを書いていきます。
避難所に行ってみてわかったこと
わが家は、災害マップで見ると水害を受ける地域の端っこにあります。
マンションの1階に住んでいますが、周辺道路に比べて建物が高く、川が氾濫してもここまでは来ないだろうと思っていました。
なので、避難勧告が出ても自宅で過ごそうと思っていたんですね。
結果的に、近くの川が氾濫したもののマンションまで水は来ませんでした。
それなのに、なぜ避難をしたか。
不安で不安でたまらなかったからです。
家で河川水位情報を食い入るように見つめ、たびたび鳴る災害警報でドキドキしっぱなし。
22時半ごろに「川の一部が決壊しました。」とサイレンが聞こえたのに後押しされて、家を出る決断をしました。
これ、めちゃめちゃ遅い判断だったので、もっと早くに移動しなくちゃダメです!!
駐車場はいっぱいだし、雨には濡れるし、真っ暗だし…
避難所に行くまでは大変でしたが、行ってしまえば「もしかしたら水がくるかもしれない」という不安から解放されます。
心がすごく落ち着きました。
「身の安全は確保した」という安心感、かなり大きいです。
ただ、避難所は夜でも明るく、常に人が動いているので寝られたもんじゃなかったです。
それから床が固い!
毛布は貸してもらえたけれど、自分でも何か敷物を持っていった方がいいです。
断水を経験してわかったこと
台風当日の晩は避難所の体育館で過ごし、朝になってから家に帰ってきました。
ほとんど寝られなかったのでお昼寝していたところ、友達から連絡が!!
「断水するって!!早く水を貯めて!」と。
この時教えてもらわなかったら、何の準備もできないまま水が出なくなってから気づいていたと思います。
地域のネットワーク、大事!
連絡をもらってわが家がしたことは、
- 浴槽、バケツ、お鍋に水を貯めた
- 炊けるだけのご飯を炊いた
- シャワーを浴びた
- 洗濯をした
- ウォータータンク、ポリタンク、紙皿など必要なものをネットで買った
です。
水を貯めるのと、物資の調達は絶対外せないですね。
他は余裕があればやっておくといいと思う。
今回、10日間という長い期間の断水を経験して感じたことは、絶対に車を水没させちゃいけないってこと。
地方の車社会に住んでいるのでなおさらなのかもしれません。
水を汲みに行くのも、
洗濯物を持ってコインランドリーに行くのも、
水の出ている地域までお風呂に入りに行くのも、、、
車がないと厳しかったです。
台風や大雨の時には、命を守ると同時に車を避難させることも優先した方がいいと感じました。
断水中の生活に役立ったものについてはこちらで詳しくお伝えしています。
>>「10日間の断水生活で便利だったものを一挙公開。必需品は何だった?」を読む
あとは、水の出ない生活って思った以上に不便だということ。
水が出ないとほとんど全ての日常生活ができないです。
断水生活中、特に困るのはトイレ、洗濯、入浴ですね。
この3つについて、どうしていたかはこちらを参考にしてみてください。
>>「断水中のトイレはどう流す?お風呂や洗濯はどうしていたのか体験談」を読む
まとめ
いわき市の河川がこんなにも氾濫したのは40年ぶりだそうです。
大雨が降ると河川が氾濫し、住宅の浸水、停電、断水が起きます。
台風は来ることが予想できるからこそ、備えをすることができる自然災害のひとつ。
最悪のことを考えて、日頃から備えをしておく必要があると強く感じました。
【参考記事】
>>「台風による断水への対策。経験者が考える備えておいたほうがいいこと。」を読む
台風から一カ月近くが経とうとしている現在も、まだ爪痕は残ったままです。
どんな被害があったのか、そこからどんなことに備えていいのか、知っておくことが今後の助けになると思っています。
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